エース「おっさんてさぁ、120年も生きてりゃ、あっちの経験も豊富なんだろう?」
始祖「は?」
エース「おっさんの初体験っていくつの時?」
始祖「15歳」
エース「…… くそっ、ませガキめ(俺なんか23歳の今でも童貞だってのに)」
エース「どうだった? うまくやれた?」
始祖「お互い初めてだったから、最初は、そりゃあもう大変だった」
エース「ふ~ん で、どんな娘(こ)だった? 可愛かった?」
始祖「……… そうだな、お世辞にも『可愛い』とは形容しかねるな」
始祖「動物にたとえるなら、チベットスナギツネ似かな」
エース「ぷふっ(笑) 何だよ、それ おっさん、趣味わり~い」
始祖「ようやく笑ったな」
エース「え?」
始祖「おまえにはしかめっ面は似合わない 馬鹿みたいにへらへら笑っているのが、一番おまえらしい」
エース「……」
始祖「どうかしたか?」
エース「あのなあ、どこの世界に『馬鹿みたいにへらへら笑っているのがおまえらしい』と言われて喜ぶ奴がいるかよ」
始祖「そうゆうもんか」
エース「そうゆうもんなの」
始祖「さっきの話だが、ひとつ訂正しておく」
エース「あん? 初体験の相手のこと?」
始祖「娘(こ)じゃなくって男だ」
エース「………」
始祖様はバイセクシャルです
始祖「今まで数えきれないほどの女と寝たが」
始祖「男はあいつひとりしか知らん」
エース「……」
(チベットスナギツネ似の)その人は今はもうこの世にはいないのだろう
そして… (おそらく)おっさんはまだその人のことを…
「100年の孤独」
何の脈絡もなく、そんな言葉が脳裏に浮かんだ
あまたのヴァンパイアどもに「始祖様」とあがめ奉られていても
実は、この人はたいそう孤独なのだ――と気づいてしまったから
100年以上生き続けてきて…
どれほどたくさんの出会いと
どれほどたくさんの別れを
経験したのだろうか、この人は
始祖「何だ、その人を憐れむような目つきは おまえごときに同情されるほど俺は落ちぶれちゃいねえぞ」
エース「……このおっさんは(怒)」
始祖「あ、そういえばギャリーのバチェラーチャレンジのこと、まだおまえに話してなかったよな アリスが参加していたやつだ」
エース「……」
孤独で…なおかつ、ひどく意地悪だ
始祖「俺がアリスに求婚した時のことは話したかな」
エース「も、もういいってば」
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