「なあ、オヤジ」
「お隣のティアラさんってさ」
「すごく気さくで感じがいい人だよね」
「芸能人ってみんなツンケンしていて高ビーだと思ってた 反省しました」
「そういや『トツガー警部』の次のシーズン、女性の新人刑事を投入するんだろう? オヤジ、彼女を推薦してやれば?」
「あの役はオーディションで決まる(俺にそんな権限があるわけないだろう)」
「あたし、あんなおねえさんが欲しかった こんな馬鹿兄貴じゃなくって」
「馬鹿兄貴とは何だよ」
いつのまにか
俺の「領域」がじわじわと
アンジェリスタ母子に侵食されていく
ララは何も仕掛けてこない
あくまでも「善良なる隣人」を演じ続けているのだ
ただそれだけに、日増しに恐怖が募っていった
新進女優のティアラ・アンジェリスタは
とりたてて美人というわけではないが
持って産まれた天才的な演技力と、その人柄の良さで
業界でも「一度は使ってみたい女優のひとり」となりつつあった
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